とある科学の超電磁砲 胸を撃ち抜く痛さ、乗り越える激しさ!

2024年4月11日

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主題歌がアニソン総選挙で6位!

正直私は女の子ばかり出てくるアニメに偏見があった。

キャッキャウフフと、百合百合しい感じで、狙い過ぎに男をターゲットにしている感じで、少し苦手だなと。

しかしこのとある科学の超電磁砲は一時代を築いたと言っても過言ではないほどの流行りぶりだった。

本編を見ていなくても、あちこちでMAD動画が跋扈していて、そのキャラクターや設定やなんとなくのストーリーを知らないでいるのは不可能な位だった。

だからなんとなくわかっている気がして、一番流行っている時は見なかった。

しかし今回アニソン総選挙で主題歌が6位に入って、なんとなく直感的に見てみることに決めた。

衝撃だった、流行りの時に見ればよかったと思った、それほどの出来だった。

持つ者の孤独と、持たざる者の苦悩

まず、このアニメで取り上げられているメインテーマは、決して女の子同士のキャッキャウフフではない。

このアニメには、2人の主人公がいると思っている。
学園都市230万人の頂点に君臨する7人のレベル5の1人、御坂美琴。

そしてその友達となった、レベル0の佐天涙子だ。

このアニメで取り上げられているのは、自分のために頑張って手に入れたものが結果的に他人の妬み嫉みを生んで、距離をとってしまうという、現在のSNS事情にも近い事象。

そしてもう一つが、どんなに真面目に一生懸命頑張っても、ほんの少しもわずかにも求めるものが手に入らずに、力を得ることができずに、それで認められずに、苦しんで、もがいている人たちのその気持ちだ。

前半はその超能力の華々しさがピックアップされているが、途中からはその能力を引き上げるという都市伝説レベルアッパーという事件が焦点となる。

佐天涙子は実に気持ちの良い人物だ。

いつでも笑顔で、人の輪や、その空気と言うものを大事にして、精一杯振る舞い、みんなの間を必死で駆け回る。

しかしその胸の奥には、どんなに頑張ってもレベル0であるという、その引け目、負い目、そして捨てられない持つ者である能力者への憧れがある。

レベル5である電撃使い(エレクトロマスター)御坂美琴の前に現れる敵は、みんなそういった、引け目、負い目が、歪んで、攻撃的になった者たちだった。

私は彼らを、弱いと、悪いと、断ずることはできない。

外ならぬの私自身が、そして夢を叶えられなかった大部分の人々もきっと、そういった気持ちを大なり小なり抱えているはずだからだ。

欠陥品なんじゃありませんっ!

結果的にレベルアッパーというものは多大なる副作用をはらんでいて、佐天涙子はそれに手を出した自らの行いを心の底から後悔して、

「なんの力もない自分が嫌で……でも憧れは捨てられなくて……レベル0って欠陥品なのかな……それがズルして、力を手にしようとしたから、バチが当たったのかな……」

と自らを責める。
そんな彼女を、一番の親友である初春飾利は、

「佐天さんは欠陥品なんかじゃありませんっ!

 能力なんて使えなくたって、いつもいつも私を引っ張っていってくれるじゃないですか……! 力があってもなくても佐天さんは佐天さんです、私の親友なんだから……だから……だから…………そんな悲しいこと、言わないで……っ!」

こんな胸の響くやり取りはない。
胸が痛くて、頭が熱くなって、気づけば諾々と涙を流していた。

現代の、何かを持っている者、それが全てで、それによって価値が決まるというこの息苦しさ、それを抱える人々の憤りの、佐天涙子はその代表だと言える。

それを支える――支え合う初春飾利は、まさに救いだろう。

そしてレベルアッパー事件を起こした首謀者である木山春生は、その狙いは能力者たちの力を集めて、能力開発の実験のために昏睡状態にある子供たちの、その原因究明の調査のために使おうとしていたということだった。

お互いがお互い、やるせないもの同士の戦いは、その音楽の導入のタイミング、素晴らしさ、そして御坂美琴の清々しい能力のおかげで、信じられないほどの盛り上がりを見せた。

ラスト3話から始まる怒涛の展開!!

そして後半のシーズン、前半の激しさを払拭するような心温まる、柔らかい、優しいエピソードたちの後に、それはまさかのラスト3話から怒涛のペースで始まる。

突然始まったポルターガイスト現象の正体は、実は未だ昏睡状態にある木山春生の生徒たちのものによるものだと発覚する。

そこで現れた専門家であるテレスティーナに、御坂美琴は木山春生が保護していて、目覚めさせようと尽力していた生徒たちを渡してしまう。

そこには初春飾利の親友である春上も含まれており、これで問題は解決していたと安堵していたところで、実際はクリスティーナは彼女たちを利用して、犠牲にして、さらに上の能力であるレベル6を達成しようとしている元凶であると発覚する。

突然の急転直下の展開に、自分たちのしてしまったことの恐ろしさに、御坂美琴、初春飾利は驚愕し、泣き崩れてしまう。

しかしそこで頬を張ってまで正気を取り戻させて、静かに見つめることで一緒に戦うことを促すのが、親友である白井黒子、佐天涙子との絆の深さが胸を打つ。

超濃厚な最終話、見応えは映画一本に匹敵!!

そこから協力してテレスティーナを追い、止めるまでの戦いが、アニメ史に残ると言っても過言ではないほどの演出、展開で、そして最後の生徒と木山春生とのやり取りで、頬濡らす涙に気づいたときに、そのあまりの濃密なストーリーがわずか1話だったことに驚愕する。

特に御坂美琴の相棒である白井黒子の能力である空間移動(テレポート)とのコンビネーションは凄まじい迫力だった。

間違いなく、これは時代を作る、そして作った傑作だ。
女の子ばかりだとか、絵柄が萌え狙いだとか、能力者ものだとか、そんなことに惑わされることなく、気になったらぜひ見てほしい。

あなたも、御坂美琴の超電磁砲(レールガン)に胸を撃ち抜かれることだろう。

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