高橋ナオト衝撃クロスカウンター顎複雑骨折!vs打越秀樹での戦慄!
宮田一郎
超本格ボクシング漫画はじめの一歩の中で幕ノ内一歩のライバルにして、天才的なカウンター使いとして描かれている、宮田一郎。
あまりにもストイックで、一途で、ひたむきなその姿に魅了されたファンは多く、私自身も大変好きなキャラクターだ。
そんな宮田一郎のモデルとなった高橋直人。
彼の試合の中で、今回紹介させていただきたいのは、1989年10月14日に行われた、打越秀樹戦だ。
日本バンタム級王者を獲得し、ジュニアフェザー9級王者を奪取し2階級制覇に成功し、年間最高試合にも選ばれた高橋直人は、その後タイのノリ―ジョッキージムとの戦いで逆転勝利を上げて、5カ月後の防衛戦。
その時高橋直人は19戦17勝12KO2敗、前回のノリジョッキージムでも大変劇的な逆転KOを見せており、観客の期待は非常に高いものといえた。
対する挑戦者打越秀樹は日本ジュニアフェザー級で12戦11勝6KO1分け、そこまで負けなしの成績を上げており、全日本新人王も獲得している非常に勢いのある相手だった。
試合開始、お互い不用意なジャブを放たず、リング中央でサークルをしながら睨み合う。
打越秀樹
そして交錯する者が、お互い非常に速く、さらに高橋直人のものは素晴らしく伸びる。
ジャブの差し合い、特に高橋直人のものは腰を入れて打っているため、重さもある。
かと思ったら打越も力強く打ってきて、ジャブながら非常に緊張感のある展開となる。
1分近くに高橋は左ジャブ三連打、さらにはアッパーと、左を自在に操ってくる。
それに対して打越秀樹もジャブのダブル、さらに左のフックを当てて5分にもっていく。
非常にオーソドックスな展開、ここまで左しか出していない、と思っていたら終了間際に高橋ワンツーが打越の顎をとらえる。
この緩急こそが高橋直人の1つの特徴といえるだろう。
第二ラウンド、開始早々にジャブから、ワンツーでボディーを狙ったりと、非常に機敏な動きは――
その瞬間、私の目は画面に釘付けになった。
思わず喉の奥から、すげえと声が漏れていた。
その返しの打越秀樹の左フック、そこに遠間から、遥に力強く打ったにもかかわらず全く同時にふりぬかれた右ストレートが、文字通りのクロスカウンターの形でその顎を貫いた。
すごい、何と言う天性の当て感、スピード、文字通りの実写版宮田一郎。
さらに再び左フックに右ストレートのカウンター。
さらに右ストレート、完全にタイミング、そして間合いをつかんでいる、会場が一気に湧く。
そこから試合は一変してフックの打ち合いとなり、その後再びジャブの差し替えとなる。
そして2分でロープに追い込み、ワンツーをぶちこみ、一気に自分のペースにもっていく。
巻き起こる直人コール。
三ラウンドはよりアグレッシブに、高橋は振りかぶってのショッピングライト、左フックをブチ当てて、攻勢をかけていく。
4ラウンド、5ラウンドは高橋直人が引っ張りながら、お互い大きなクリーンヒットはなし。
そして折り返しとなった6ラウンド。
高橋直人がスナイパーのように安定して鋭いジャブを放ち、打越秀樹が詰めていくと言う展開。
そんな中で打越のパンチに慣れてきたのか、高橋直人のジャブ、フックから始まる三連打をきれいに外し、余裕が見られていたと思った1分過ぎ。
ジャブジャブジャブと放ってからの、急激に伸びる右ストレートが打越秀樹を襲う。
背筋が伸びるような緊張感。
何かが起こりそうな、そんな予感。
そして1分半、それは最高に劇的な形で訪れた。
クロスカウンター
リング中央、打越秀樹が軽いジャブを話し、全く同じモーションで放たれた左ジャブに対して、それに完璧な形でかぶせ、猛暑が全くない、文字通り宮田一郎の意識の外をついた右ストレートが、打越秀樹の顎完璧な形で打ち抜き、脳を揺らした。
クロスカウンター。
誰もが絶句したことだろう、私も開いた口が塞がなかった、ここまで完璧で、そして芸術的なクロスカウンターは、ほとんど見たことがないと言っていいレベル。
一気に詰めて、左右のフックの連打、右アッパー、右ストレート、左フック左フック左フック!
それが完璧に頬を打ち抜き、打越秀樹は文字通り吹き飛ばされ、ロープの外でもがき苦しみ、立ち上がろうとしていたが、しかし叶わず、高橋直人の、10カウントノックアウト勝利。
何と言う、なんと言う劇的な終わり方だろうか。
そのまま打越秀樹は大の字に倒れて、手当てを受けている。
後から知らされた話だが、打越秀樹は2ラウンドに打ち込まれた高橋直人の右ストレートにより、顎を2カ所複雑骨折しており、その激痛と、口の中に溢れる血を飲み込みながら戦い続けたと言う話だ。
このダメージにより打越秀樹は6時間に及ぶ手術、1ヵ月半の入院生活、流動食の日々を送ることになったと言う。
あまりにも明暗が分かれ、あまりの強烈なインパクトを残し、この1戦。
そして2ラウンドにその顎を砕き、6ラウンドにKOを奪うことになった、右のクロスカウンター。
万人が認める、漫画の中のそのスーパースターのひらめき、それを垣間見た心地だった。
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