暗殺教室 唯一無二の鬼才が綴る掛け替えない一年の青春!
とんでもないぶっ飛んだ設定
『暗殺教室』というタイトル、そして前作『魔人探偵脳噛ネウロ』というとんでもないタイトルの作品を作っている作者の、その次作だという噂。
試し読みで殺せんせーというその教室の教師だろう生物が、月を4分の3消滅させた文字通りのモンスター――化け物だという設定を知っていた。
そしてそれを教室の生徒たちが殺すというお話。
先入観として抱いていたのは、さすがにブットんでるなぁという印象。
おそらくは一般の人間とは、通常の漫画家とは一線を画す才能を持っているのだろうとは考えていた。
しかし正直それこそタコみたいな外見の先生に、タイトル、そして設定に、最初そそられてはいなかった。
そのうち縁があれば見てみてもいいかなみたいな、それぐらいの印象だった。
しかし知り合いに熱烈なファンがいて、その猛プッシュに従う形で読み始めた。
そうやって読んでいる最中、何度も何度も、何度も何度も、頭の中で響いていた言葉があった。
絶対無比の鬼才
鬼才だ、すさまじい、信じられない。
私は小説家をしている。
だから作品に触れる時、その最中吸収できるところは吸収して、出来るならば自分の作品に何らかのプラスや影響を得られるように、考えながら読んでいる。
しかし、この暗殺教室に関してはほとんど別格だった。
私では書けない。
逆立ちしたってこんなストーリーは生み出せない。
誰がマッハ20で動ける触手の化け物教師を暗殺する学園ストーリーなんて創造できるだろうか?
100歩譲って思いついたとして、そこにちゃんと筋が通って、キャラが立って、28人のクラスメート全員に個性があって、背景があって、物語があって、その上でちゃんと暗殺がバックボーンとして成立している青春成長ストーリーなんて成立させることができるだろうか?
読んでる最中、ずっと圧倒されっぱなしだった。
この物語は、無駄な設定や、無駄なキャラクターが一切ない。
本当に生きている28人プラスαの生徒や教師たち
28人のクラスメイトに、殺せんせー含めた3人の担任教師、さらに迫りくる殺し屋たちや、校長先生に、彼らに対抗する優秀なクラスの生徒たちに、学園長の息子に至るまで。
全てが唯一無二の個性として、そして極端な漫画特有のキャラ付けなどされずに、ともすれば本当の存在する教室のように成立している。
気がつけば、まるでクラスの一員になったように錯覚するほどだ。
主人公に位置づけられているのは女の子みたいな外見、性格にも関わらず殺し屋として圧倒的な才能を持った潮田渚であり、それに対抗して頭が切れて能力的にもエース格に相当される赤羽業、そしてちびっこで巨乳に対して殺意を覚えたりするが実は殺せんせーの恋人の妹で触手を頭に植え付け復讐の機会を狙っている元子役女優のヒロインに相当する茅野カエデ。
そして寺坂竜馬率いる悪ガキ3人グループや、千葉龍之介に速水凛香のスナイパーカップル、イケメン委員長の磯貝悠馬に、眼鏡っ娘の理科実験大好きっ子奥田愛美、ポニーテールの巨乳だけどしっかりした女の子矢田桃花に、身軽ではすっ葉だけど乙女な岡野ひなたに、医者の一家に生まれたけれど不器用なメイド喫茶好きの竹林孝太郎、エロ大好き岡島大河に、エアギター中二病の三村航輝、天才ギャル娘中村莉桜に、野球少年杉野友人にキラキラネームの木村ジャスティス、清楚な黒髪ロングで自分探ししてた神崎有希子、太ましい原寿美鈴にイケメンメグこと女子学級委員長片岡メグに、自立志向固定砲台こと律、
とまぁパっと思いつくだけでもしっかりとそれぞれの役割を与えられていて、20巻の間にいくつもの見せ場やドラマがあるので、覚えようとしなくてもいつの間にかそこにいるという感じで覚えている。
途中でお互いあだ名だけで呼ぶという回もあるので、それもキャラの印象付けにひと役買っているのは間違いない(笑
そして1番の見せ場が、学校全体から落ちこぼれ、エンドのEクラスとして差別されている上に、エリートクラスであるAクラスと圧倒的な逆境で戦い、しかし殺せんせーのマッハ20のチート能力を利用するのではなく、クラスメイトのそれぞれの特徴や能力や知恵や工夫で勝利していく、その達成感とカタルシスだ!
毎回毎回一筋縄ではいかず、ただ読んでいる側としては今回はとても無理じゃないか、いや無茶だろうというAクラス側の反則ギリギリというか体育祭の時なんか海外のとんでもない留学生呼んだりどう考えても反則技まで持ち込んでの徹底した対策をしているにもかかわらず、それを上回る個性と工夫で乗り越える。
そのたびに毎回驚き、笑い、そしてガッツポーズをさせてくれる。
胸に響く教訓、胸に迫る思い出たち
そして、この漫画にはやられ役がいない。
時に軍隊や、殺し屋などの、大人との戦いも描かれるが、皆、経験や知識を積んできた人生の先達として描かれており、それらとの戦いや、教訓、学んだこと、それらもご都合主義ではなく徹底したリアリズムに近いもので描かれている。
それは読んでいて、本当に感心、頷かされる。
そしてここは特に声を大にしていいたいところなのだが、マッハ20のスピードを誇る、斬っても撃っても死なない、全身触手のモンスターであるはずの殺せんせーとの日々が、本当に楽しく描かれているのだ。
私はどちらかというとそちらの方が印象に残っている感じがある。
とんでもない量の荷物をリュックに詰め込んで、はしゃぎまくって楽しんだ修学旅行。
渚とカルマに頼まれて、アメリカまでマッハ20で映画を見に行って、わからない単語などをフォローまでして楽しませてくれた、かなり幸せな映画鑑賞。
茅野の発案で、校庭に超巨大なプリンを作ってみんなで食べた思い出。
何百何千何万ページを誇るかもしれない、世界中をマッハ20で飛びまわりまくって、写真を撮りまくって完成させた卒業アルバム。
彼が殺し屋だったから。
そして、自分の体が改造されるときに、ずっと自分を見ていてくれた彼女に頼まれたから。
自分の体が変化するときに、ありとあらゆる隙だらけである、弱い存在であることを祈ったから。
これを思い出すだけでも、泣けてくる。
死神とまで呼ばれた殺し屋の事実をベースにして、彼は彼なりに、自分が担当する落ちこぼれのクラスを、本当に妥協なく精一杯教えて、そして全力の愛情を注ぎ、でき得る限りの思い出を残そうとした。
そんな彼らのラストが、まるで宝石のように輝いて見えた。
一人ひとりの名前をきちんと読み、出席確認。
あの瞬間は涙なしで見られるひとなどいるのだろうか?
これ以外にも後に教師となった元特殊部隊のエリートである烏丸惟臣や、世界有数のハニートラップの殺し屋であるビッチ先生、圧倒的な合理主義で自らの罪を償うために人としての道を踏み外しかけた浅野學峯学長など、大人側の人間ドラマももはや鬼気迫るものがあることだ。
ありとあらゆる側面において、一切の妥協なく、不満と思わせることがありえないほどの傑作といっていい。
そしてその根底を支えるのが、先生の、圧倒的なまでの能力、そして限りない優しさだ。
私はこのクラスでの日々を忘れることなく、そして教訓をずっと胸抱えて、これから生きていきたいと思う。
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