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ⅩⅩⅠ:決闘

2020年10月7日

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目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

 それに即反応したエリューは、いち早く聖堂の入り口に向かった。
 それにニヒルな笑みを浮かべたクッタが続いた。

「オレが勝ったら、お前らはオルビナさんのパーティーから抜けろよ」

「……じゃあ、俺が勝ったらお前は俺たちの目の前から消えるのか?」

「ありえねぇ話だな」

 聖堂の前庭で、二人は向き合う。
 約五メートルの間合い。
 エリューは俯き、クッタはアゴをしゃくり余裕綽々の体をなしていた。

 その前方の扉前で、オルビナとマダスカは勝負の行方を見守っていた。

「……話にならねぇな、そんなに負けるのが怖ぇか?」

「ハッ。言うねぇ、坊主……いいだろう。オレが負けたなら、お前の靴の裏舐めてそこのお嬢ちゃんの周り三回まわってワンって鳴いてから尻尾巻いて失せてやるよ!」

 既にバチバチと、火花が散る。
 それを見るマダスカが隣りのオルビナに、

「――しかし、オルビナさま」

「なにかね?」

「あの、先ほど……『騎士の力は欲しいが、現在のパーティーを解散するつもりはない』、と仰いましたよね?」

「言ったね」

「だとするなら……いずれにせよエリューの離脱はありえない、ということになりませんか?」

「なるね」

「……オルビナさま」

「なにかね?」

「いえ……なにも」

 そして、戦いは始まった。





「――さーて、いくかな」

 クッタがその腰からシャラン、と剣を抜き放つ。
 それは柄に大きな手甲がついた、湾曲した片刃を持つ破壊力に富む騎士剣、セイバー。

「……来いよ、この野郎」

 エリューも腰の剣を、音もなく抜き去る。
 それは今は亡き団員の想いと命が込められた、斬る刺す両方の用途が可能な汎用剣、バスタードソード。

「……本当に足手まといかどうか、その目で確認してみろや!」

 先に足を踏み出していたのはクッタだったが、その間合いを一足で詰めて、エリューは両手でしっかりと握りしめたバスタードソードを、振り下ろす。

「ハハ、本当お前動きだけは速ぇ……なっ!」

 それをクッタは片手で持ったサーベルを横薙ぎにして、打ち払う。
 前傾していたエリューは、それで体勢を崩される。
 しかしクッタは棒立ちに右手を掲げた状態で、隙だらけだった。

 そこにエリューは、追撃を――

【eldein】

 剣が触れた先から、電撃が流された。

「かっ……!?」

 それにエリューの身体は、硬直する。
 痺れて、動かない。
 ビリビリと、痛みが血管に乗って伝播している。

 上から、声が降ってくる。

「はっ、バカ正直な動きだな……そんなんじゃその首、繋がってらんねーぞ?」

 首筋に、殺気がぶつかる。

「!」

 その事態に、筋力を動かすことを放棄――とっさに魔力で、外から身体を引っ張り、剣の間合いから離脱させる。
 ごろごろと無様に転がり――元首があった場所を、セイバーが容赦なく通過した。

 それにエリューの顔色が、本気に変わる。

「っ、く、てめぇ……本気だなァ!?」

 それにクッタは、ニヤリと笑う。

「なに? お前、手加減でもして欲しかったの? ならそういえよ、最初から素手でやってやったのによォ!」

「! ――ンのやろう!!」

 突進。
 まだ筋肉がほとんど動かなかったので、魔力で身体を外からコントロールした。
 集中力を酷使する作業だったが――怒りのおかげで、最初からそもそもクッタしか見えていなかった。

 刺突。

「――らァ!」

「へ!」

 それをクッタは、上体を大きく反らして躱す。
 そして下から、セイバーの湾曲した片刃がエリューの伸び切った手首を、狙う。

「っ……!」

 それにエリューは慌てて腕を引き、回避しようと――

【wda garadeze(風の精霊よ)】

 不意に、ものすごい突風が"真下から"吹き――それにより超加速したセイバーの一撃が、エリューのバスタードソードを叩き、弾き飛ばした。

「あ……っ」

 宙に浮き、五メートルは先に飛んでいくバスタードソード。
 それを本能的に追おうとして――その行き先に横からセイバーが、突きつけられる。

「勝負あり、だな?」

 憎たらしいその笑顔を、エリューは目と鼻の先で睨みつける。

「…………」

「アハハハハハ、理由がわかったか? スタンブルグに来て初めて、それぞれの職種の適性ってやつがわかるんだよ。そこまでは基礎中の基礎、けつに殻がついてるようなもんだ。バカみたいに剣だけ持ってまっとうに特攻してきやがって、オレの魔法剣の特性も掴まず――」

 がん、という衝撃。

「は……?」

 それにクッタはかくん、とフラつく。
 とつぜん襲った脳の揺れを堪え、目の前の光景を見ると――エリューはこちら向きに、お辞儀のような体勢を作っていた。

 そして痛むのは、額。

 頭突き。

「っ、て……てめぇゴラァ!」

「――らあああ!」

 エリューはそのまま、飛びかかる。
 振りかぶられたセイバーは、その近すぎる間合いゆえ、空を切った。
 そして左手でクッタの頭を掴み、右の拳で――頬を打った。

「ぐぅ……っ!」

 それにクッタは吹き飛ばされ、追いかけエリューはその上に、馬乗りになる。

 さらに、一撃。

「ぐぇっ!」
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