死に至る病――うつ病闘病記㉑「初面接で人生の落後者扱い」
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面接の予行練習
親友に相談した。
率直に本音で面接が怖いと、自信が無いと、この派遣スタッフとしてやっていた期間を聞かれたときに答えようがないと、それによって笑われ落ちるしかないんじゃないかと。
すると戦友はある提案をしてきた。
「予行練習をしてみよう」
ファミレスにいった。
そこで、食事を終えて、片付けてもらって、そこで用意しておいた履歴書を机の上に広げて、戦友に仮想面接官となってもらった。
そして質問に一つ一つ答えていく中で、問題の派遣スタッフとして働いていた4年間に行き着く。
そこで戦友が言った。
「ここの期間は、これまで職業は飲食関係をやってきて、それで上京して期限付きのゲームシナリオライターを経て、そして郷里にはなかった派遣業と言うものに興味があって、実際にやってみたら肌に合っていたので、続けていたと言えばいいんじゃない?」
目から鱗だった。
文句ないほどの回答だと思った。
これでうだうだ言うようなところは相手にしなければいいし、そんな会社などないと思えた。
それで、気づいた。
自分が、どんな狭い視野、考え方の中に、押し込まれていたのかも。
その後ハローワークに行って、関東の父親ともいえる人に相談したが、答えはかなり似通ったものだった。
そしてロンドンで知り合った友達も、ほぼ同意見だった。
派遣スタッフだろうが、現場仕事だろうが、工場勤務だろうが、同じ働いていると言うことに、違いは無い。
そういう人たちがいて、社会というのが成り立っているのだから。
自分を卑下して、定められたメールの上に乗っていなくて、まるで人生の落伍者のようにおとしめていた今の生き方と言うものを、根底から見直すきっかけになったと思う。
そして私は、改めて、秋葉原の隅っこの方で独特な雰囲気を漂わせるそのパーツショップの店に、電話をかけた。
正直膝が震えた。
コール音が響く中、心臓がドクンドクンとうるさかった。
電話に出て、応対しながら、声が震えないようにするのに必死だった。
2日後、面接が決まった。
それまでに、戦友は面接の練習を何回も付き合ってくれた。
感謝しても、しきれない。
そして面接当日、予定の1時間前に秋葉原に着いて、場所を確認して、一旦離れて中央通りを中心にうろついて、20分前に店に入った。
そこで面接するものと思っていたら、なぜか店の外に出され、さらに歩いて15分位の場所まで移動させられて、とある雑居ビルの4階に案内された。
面接は、全く予想外で、散々なものだった。
一方的な説教
ほとんど履歴書の内容を聞かれることがなく、何度も行った練習がほとんど無意味となった。
聞かれたのはほとんど一点だけ。
「インターネットを介した販売の経験があるか?」
秋葉原の店と言うのは華やかに見えるかもしれないが、実際のところ足を運んでくる人がほとんどいないから、そういうところで細々と利益を出している。
今回募集してるのもそういったことを対応してもらう人間で、この歳になっていまだにそんな経験もないなんて、ほんとにこれからやっていけるのか?
たったこれだけのことを、おそらく1時間近くネチネチと言われた。
はっきり言ってもう雰囲気から話から、開始5分で落とす気満々なのは感じたが、久しぶりの面接と言うことと、相手を慮り、空気を読み、一応向こうが話している、そういったことを理由付けて、自分からは席を立たないでした。
そして1時間ぐらい経って、ようやく向こうが切り出した。
「まぁ……そんなわけで、今回はちょっと厳しいと言うことで」
落とすなら落とすで、せめてはっきりと言えばいいのに。
俺は愛想笑いを浮かべて、今回の面接の機会を与えてくれたことに感謝の言葉を述べた。
そしたら向こうもようやくそれに対して愛想笑いを返し、渡した履歴書もこちらに返して、そして私はそのまま雑居ビルを後にした。
そのまま近くの公園に入って、私はその場で戦友に連絡を取った。
説明を終えると、戦友は怒りの声をあげていた。
「……そんなとこ、入らなくてよかったよ。それでも、なんで途中で帰らなかったの!? 」
確かに今考えるともっともだと思った。
あまりにも失礼すぎる、礼儀がない、社会人としてどうこうとか失礼な話だ、そういうこと言うこと自体が常識を疑うレベル。
緊張とか落胆とか、そういったものよりも私も同じく、怒りが来ていた。
一生懸命がんばって、うまくいかなくて、謙虚になって、卑屈になって、そんな絶望の中でも、前に進もうと勇気を出して、その結果がこれ。
あまりにも理不尽すぎる、あまりにもうまくやってる人たちと差がありすぎる。
私には、この世の中のあり方が、少しずつ歪んで見え始めていた。
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