死に至る病――うつ病闘病記⑳「面接が、空白の期間が怖い」
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厳しい転職条件
転職先を探すといっても簡単ではないことはわかっていた。
今まで関東で曲がりなりにも4年ほどやってきて、できるならば土曜日か日曜のどちらかが休みの方がペースが作りやすいこと、やはり週4日位が1番今のところ合っていると言うこと、生活していくにはどれぐらいのお金が必要かなどが、ぼんやりと視え始めてがいた。
そして、夏に地元で開催する県大会と、合宿、年末年始の実家への帰省は、やはりやめたくはなかった。
それらの条件を満たすものが、果たしてあるのか?
それに加えて経験則として、実家で仕事を探していた時、20連敗ぐらいして3ヶ月ぐらい仕事が見つからなかったことがあった。
そしてさらに、現在の派遣法改正による経済の混乱、コロナ禍による雇用の大量喪失、飲食業の徹底的な冷え込み、明るい材料は皆無に等しかった。
だから、すぐに見つかるどころか、いつか見つかるのかどうかすらわからない状態での船出だった。
まずは、自分の武器を考えてみた。
2年間の留学を通しての英語力、長く小説を書いたことによる文章力、空手で培った運動能力やそういった経験だろうか?
だからまずは、そういったものに狙いを定めることにした。
そういった条件の中で、ふと思い出された出来事があった。
秋葉原という街の位置づけ
あれは二、三年前だったか、地元から同じくこちらは東京に来ていた知り合いと、いちどだけ機会があって、一緒に飯を食ったことがあった。
彼はそこそこのイケメンで、スタバでバイトをしていて、なんとなくかっこいいなぁとか思っていた記憶がある。
そこでどこで遊ぶかと言う話で、どこでもいいと言われたので秋葉原を提案して、実際にそこで集まった時のことだった。
彼は集合して、しばらく歩いた後、こう言った。
「青貴さん、ここで働けばいいのに」
訳がわからない私に彼が言うには、秋葉原に来た時の私は、今まで見たことがないほどに生き生きと輝いているように映ったらしい。
自分としては確かに秋葉原は好きな街ではあったがそんなつもりはなかったのだが、この秋葉原と言う街が持つ混沌としたエネルギーというか、何でも受け入れる雰囲気というか、そういったものに知らず知らずのうちに癒されていたのかもしれない。
そして東京の高時給的にも、働き口的にもと考えて、私は秋葉原で求人情報を探してみることにした。
そんな中で、中央通りの端っこのほうにある、いかにもなマニアックな電器店が求人していることを知った。
まさになんとなく、微妙に気になるというか、そんな感じだった。
だけど自分には特にこれといった判断基準がなかったし、とりあえず候補に入れた。
そこで、私は思い知らされた。
なぜ私は四年間も派遣をやっていたのか?
なぜ自分が、ずっと派遣で、アルバイトでも何でも普通の仕事を探してこなかったのかも。
実際に仕事を探してみて、これを受けようかと言う段階で、気づいた。
私は怖かった。
それは働いたり、新しい世界に飛び込んだり、そういったこともそうだが、その手前の段階が怖かったのだ。
面接。
履歴書を書いていて、そこではたと気付かされた。
その、職歴の欄。
直近の、4年間。
派遣会社所属。
自分で、気づいてしまった。
私は、この空白とも言える4年間、どう取り繕えばいいのか分からずに、それを恐れて、動き出すことができなかった。
なんで派遣会社で働いていたんですか?
一般的な派遣社員ではない。
工場等の現場に派遣されて、その日その日の仕事をこなすだけの派遣スタッフ。
そういったところに四年間も在籍。
なんで普通の仕事をしなかったのか?
なぜ日雇いで暮らしていたのか?
なぜ工場などの現場仕事ばかりやっていたのか?
そんな風に問われたときに、問い詰められたときに、自分には、返す言葉がないと思っていた。
そんな自分が、面接で受かる事はないと考えていた。
恐ろしくなった、怖くなった、未来が霞んで見えた、いやむしろ真っ暗になった。
面接で受かる自信も、面接を受ける勇気も、電話する気力すらわかなかった。
自分では乗り越えられない。
そこで私は、空手の先輩と、戦友と、ハローワークでいつも相談に乗ってもらっている方に予約を取ることに決めた。
自分の現在の状況、状態を知った。
その上で、どう行動するのが1番いいのか、正しいのか、やっていけるのか、それを、第三者の目から見てもらわなければいけないと思った。
自分はこれからどうすれば良いのか、まるで大海原に1人投げ出された、そんな漂流者のような気持ちだった――
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