死に至る病うつ病闘病記⑲「コールタールな上司とパートの縛り」
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パートになる
次の日が期限という日、私は戦友に泣きつきガストへいって約5時間ほど話をした。
いや実際のところ話をしたと言うのは、違うかもしれない。
結局のところ、1人でその責任を抱えて、当日を迎えることがどうしてもできなくて、すがったというのが実際だったと思う。
結果的に私は、パートになる話を受けることにした。
受けて、それでダメなら別の就職活動しながら、同時進行で進めればいいんじゃないかという1番無難な道を選んだ。
それから、いつ実家に戻るとも知らない不安定な派遣という職を選んでいた為に先延ばししてた住民票の異動も済ませ、必要な書類を集めて、と準備を進めていった。
しかし実際に仕事が始まると、予期していないことがいくつも起きた。
まず、私はてっきり、派遣中に担当していた、青果を各テーブルにばらまく係になると考えていた。
もしくは一足先にパートになっていた派遣仲間と同様に、それらを仕切るような立ち位置になると考えていた。
しかし実際始まると、割り当てられたのは、仕分けと呼ばれる、それらと一線を画して、大量の入荷したものを、その出荷先に割り当てるという、係に回されることになった。
予期せぬ配置転換とコールタール上司
単品ではなく出荷先単位となったことによる重量の増加により、単純な肉体労働としてのキツさも、個人的には1.5倍増しだった。
それよりも辛かったのは、そこを指揮する人間が、自分が今まで会ってきたどんな人間にも、粘着質で、裏暗いところがあると感じられることだった。
私はその人のことを、自分の中と、人に話すときには、コールタールと呼んでいた。
見た目には丁寧で敬語を話しているのだが、恐ろしいことに、目の奥が――濁っていた。
暗く、その奥が見えないほどに。
できれば思い過ごしであれば良かったが、結局のところその人が私の半分担当のような形になってしまって、そうではなかったことにきづかされることになってしまった。
仕事を説明するときは敬語で丁寧だったのだが、いちど言われた事を間違えたときに、本性が顕わになった。
「あぁ!? てめえまじふざけてんな、何考えてんだ? おォ!?」
こんな露骨なべらんめぇ口調、リアルな世界で聞いたのは初めてだった。
恐怖じゃない。
抱いたのは、嫌悪感。
とにかく、関わり合いになりたくない。
職場の直接の上司である以上、完全隔離したり、衝突すると言うのは難しい。
しかも見たところ、この工場で1番に近い位に偉い立場のようだった。
つまりは何かあったとき、頼る相手がいないと言うこと。
何かあるたびに、やり方を聞きに行かなければならない、お伺いを立てなければならない、接触しなければならない。
たった1週間だけ、それだけ続けて、心臓に何かバラのような尖ったものを巻きつけられたような錯覚を抱いた。
体全身に、まとわりつくような、粘着質な、重たいもの。
私が、彼をコールタールと呼ぶようになったきっかけだった。
ただ生きている日々
さらに聞いてみると、パートという立場にかかわらず、やはり週5日間出勤する事は基本的には義務に近いようだった。
それは、祝日も関係なし、ゴールデンウィークだろうが国民の休日だろうが、変則の日曜日から木曜日までは基本的には毎日。
休みが取れなくはないが、実際のところかなり取りづらいというか、忙しい時にはなおさらのようで――たまたま他のパートさんが申請している際にコールタールがネチネチ言っているという現場に遭遇してしまって、知ってしまった。
だったらここでパートをする意味はなんだろうか?
そんなきっちり週五日だったら、難しいかもしれないが正社員を探したほうがマシなんじゃないだろうか?
年末年始すら、4日程度しか基本的には休みがないようだった。
ならばその期間に実家に帰省するのは難しいだろう。
胃が、重たくなるような心地だった。
そして実際に週5日で働いてみて、やはりというか、稽古もブログも小説も、ほとんどままならなかった。
働いて、飯作って、休んで、ほぼそれで精一杯。
休みの日だって、相当気合を入れなければ作業はできないというか――正直休み位は外食したり休んだりそれなのに遊んだりしたいという欲求が頭をもたげる。
ほとんど働くために生きているような毎日。
浮かんでくる疑問。
俺は何のために関東にいるんだ?
日に日に増してくる、自らの存在への語りかけ。
生きている意味が、意図が、理由が、見出せない。
そして2週間目に突入して、私は決めた。
難しいかもしれないが、そう簡単にはいかないかもしれないが、どうなるかわからないが、このままで良いとは思えない。
私は、ほとんどやはりというか当初の通りというか、暗闇の中ではあったが転職先を探すことに決めた――
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