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死に至る病――うつ病闘病記⑥「死という選択肢の出現」

2021年7月20日

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この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

選択肢

自分の意志

あなたは自分の目の前に選択肢があると感じたことがあるだろうか?

ドラゴンクエスト等のロールプレイングゲームをやった人なら、覚えがあるだろう。

もしくは美少女ゲーム何かのアドベンチャーゲームでもいい。

次はどの行動をしますか?

例えば起きた後。
体を起こして、目の前に選択肢が浮かぶ。

顔を洗う。
歯を磨く。
シャワーを浴びる。
水を飲む。
朝ごはんを食べる。
ゲームする。
二度寝する。

強制力がなく、切羽詰まっていなければ、これぐらいの選択肢が浮かぶのではないだろうか。そして、それを選ぶのは自分自身の意思に左右される。

しかし長く生きてきて、この選択肢だけは浮かんだことがないのではないだろうか?

死ぬ

目が覚めた。じゃぁ気分もいいし、天気もいいから、ちょっと死んでみるか。

いや違うか。
こんな心境で、ほんとに選択肢が浮かぶわけない。

実際は――だ。
だから――

「……どうかした?」

ハッ、とした。
完全にトリップしてた。さっきまで、私が、俺は、僕は、この世界になかった。

ここは──電器店の屋上。

疲れた?

一緒に来ていたツレが、近くまでやってくる。

「……疲れた?」

心配してくれている。

僕は、ベンチに腰かけたまま、目を合わせることができず、足元を見つめることしかできない。

疲れたと言えば、疲れたかもしれない。

もう、耐えられないかもしれない。

もう、だめかもしれない。

僕はその瞬間、自分の気力が完全にゼロになっていた。
視線を挙げると、それまで見えも考えも想像もしていなかった光景が、浮かんでいた。

僕はそれに、抗うだけの力を持ってはいなかった。

どん詰まり

行き止まり

もしその瞬間、1人だったのなら。

もしその闇を、たった1人で抱えなければいけなかったのならば。

電器店の屋上で、そのベンチに座って、目の前に戦友がいる状態で、私は行き詰まっていた。

行き止まりだ。

底の底。
これ以上、下はない。
これ以上どこにも行き着かない。
どん詰まり。
終わり。

比喩ではなく、視界が真っ黒に染まっていた。
何もわからない。
何も見えない。
どうしようもない。

真っ暗な結論

視界の端に映る戦友に語りかけるように、しかし実際はまともな思考ができないまま、私は言葉を紡ぎ始めていた。

「…………俺、」

いつの間にか、半笑いになっていた。

「とーさんに、あんなこと言って……それで、こんなになっちゃって……何もできなくて、どうしてもなくて、どうにもならなくて、もう、俺なんか……」

自分の言葉で、自分の首をしめていく。

もうそれ以外、何もなかった。

「俺……もう…………死んだほうが、いいのかな?」

まるでシャッターだった。
もしくはブレーカーが落ちた。

そこからの記憶は、ほとんど具体的なものが残っていない。
まるでDVDやハードディスクに上書きされたかのようだった。

ただ、なんとなく、概要のようなものが残っている。

ただ、励まされた。

そんな事は無い。疲れているだけだと。気にしなくていいと。

救いの言葉

「食っちゃ寝すればいい」

そのようなことを、繰り返されて、ただただ勇気づけられたような、肯定されたような、そんな感覚だけが残されている。

激しく叩かれたり、罵しられたり、しっかりしろと両肩を叩かれたような覚えもない。

実際そんな劇的な行為、現実にはタブーだ。
もうそこまで追い詰められていたら、患者は本当に、精神的ヒットポイントはゼロに等しい。

強い言葉や行動は、ただもうダメだと後押しするだけだ。

もう半分以上外側に足を踏み出していた僕を――

戦友は、ただただ両手で肩腕を掴んで、ひたすら支えてくれていた。

働けないという八方塞がり

疑問と恐怖

疑問と、恐怖、それだけで頭の中が100%完全に埋め尽くされていました。

まるで全身、目に見えない鎖や針金でがんじがらめにされているからようでした。

どうにもならない、どうにもできない、八方塞がり。

破滅のような、この世の終わりのような、そんな状況で、1待たしは徐々に徐々に、心と体をすり減らしていきました。

眠れないと言うことが、十分に食べられないと言うことが、そして努力できないと言うことがこんなにつらいと言うことを初めて知りました。

窮地に陥っていた私は、それでも働かなければ生きていけない、しかし自分ではどうにもならない、そんなわけで戦友と一緒に、家の近くのハローワークに赴きました。

とにかく探さなければならない、だけど自力ではどうしようもないから-けれどその裏には、暗い気持ちが潜んでいました。

諦めしか見えない

どうせ、ダメだ。

あきらめしかありませんでした。どうせ、こんな、空手と小説しかやって来なくて、だけど何も結果を残せなくて、ロンドンにも行ったけれど、資格も1つもなくて、接客系のアルバイト経験しかなくて、潰瘍性大腸炎になってうつ病になった自分に、需要なんて、あるわけない。

そんなふうに思っていました。そんなふうにしか思えませんでした。そんなふうにしか、自分の価値を取られませんでした。

そして、自分の言葉が相手に届くわけは無い。実際まともに届いたことがない。それが、その時の自分を完全に支配していました。

だから整理券を引いて、その番号を呼ばれて、相談用の椅子に座って、その人が目の前に現れても、私はまともに顔を上げることも出来ませんでした──

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