死に至る病――うつ病闘病記⑩「奴隷になりさがる」

2020年3月31日

最初から読みたい方はこちらへ! → 一覧へ進む
___________________

奴隷。

その単語を現実の生活の中で思い浮かべたのは初めてのことでした。

奴隷。

奴隷になってるんじゃない。誰が? いやどう考えても話している相手、つまり俺?

俺が、奴隷になっているの?

心臓がドクン、ドクン、とうるさい音を立てていました。

その時の自分は、精一杯やっていて、とにかくやるべきことやらなきゃいけないことを必死にやっていてと、その想いでそれこそ精一杯でした。

だから父が言い放ったその言葉の意味がとても理解できませんでした。

奴隷。

そして父が聞かせてくれました。

昔、長崎を離れた先輩がいて、それからずっと仕事に手いっぱいの様子で、久々に電話してきたときに、大会ぐらい見に来たらどうだと言ったところ――自分だって行けたら行きたいんですよ! と絶叫した、と言う話を。

そして気づきました。

自分が、全く同じだと言うことに。

いつだ?

俺はいつから、奴隷になっていた?

父の瞳は、ずっと厳しさの中に寂しさを絞めているような色を湛えていました。

友達との共同経営の難しさ。
必ずどちらかがもたれかかる、もしくは卑屈になる関係性となる。

だから父は、卒業したばかりの頃に社長との共同経営を持ちかけられても、空手家として生きていくことも含めて断ったと言う話。

そして自分のような気遣いの人間が、うまくやっていけないことを最初から見透かしていたと言う話。

小説家になる。

そう夢を掲げていて、その足がかりとしてゲーム会社のシナリオライター――これ以上ないほどに順風満帆だと…本当は心の中で思ってはいないことに、気づいていました。

いつの間にか自分を見失うほどに、ただただすがりつくことに必死。

ただ遊びに行くこと、それだけでも常に気が休まらない。

連絡が来るだけでパニックに陥る。

本当に滑稽な話ですが。

そこで初めて、自分が異常な状態だと気づくことができたのです。
___________________

続きはこちらへ! → 次話へ進む

面白かったらこちらをクリック👍
 にほんブログ村 にほんブログ村へ 
 にほんブログ村ランキング   人気ブログランキング