ムエタイという幻想の正体⑯〜攻略その2「防御を捨てるか、制するか」

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まず、2通の戦い方があります。

多少の被弾を覚悟で、戦うか。

高度な駆け引きに、身を投じるか。

最初の戦い方を選択した選手の代表格といえるのは、K-1 WORLD MAXなどで活躍した武田幸三でしょう。

最初私は、わかりませんでした。

なぜあれほど極端に視線を下げて、顎を極限まで引いて、ベタ足で戦うのか。

あそこまでしてしまえば、相手の動きの全容を把握することが難しく、うまくガードしたりカウンターを合わせたりということができなくなります。

つまりは、そういうことだったんです。

ムエタイの、高度な駆け引き――フェイントをしたり、引っかかったり、裏をかいたり、そういうペースに巻き込まれないために、KOだけ、されないために顎だけは絶対安全地帯にキープして、顔や足、腹等は根性で耐え忍んで、そして魂の右ストレート、ローキックで相手を粉砕する。

まさに漢の戦い方。

そしてもう一つが、大崎一貴選手や若い選手などに見られる、ムエタイの駆け引き、防御テクニックを熟知、そして自らも使いこなしながらも、攻撃スタイルは自分のペースに持っていくと言うタイプです。

これは近代になって現れた新世代とも言えるスタイルでしょう。

以前はその鉄壁とも言えるガードを崩せず、リズムについていけず、葬られてきた選手もたくさんいましたが、彼らは平気でそれらと同等のガードを使いこなし、リズムも難なくついていくことができます。

そして問題となっている脛の硬さの差も、うまく外したりいなしたりして、ハンデとならないように工夫してしまいます。

その違いは、やはり単純にセンスと、そしてスピードでしょう。

それだけ新たに出てきている選手のスピードは、それまでのものとは全く違っています。
もちろんですが最も顕著なのは那須川天心選手でしょうが(笑

そしてうまく合わせしながら、リズムについていきながら、しかし狙うのはあくまで――KO。

ミドルキックや首相撲には付き合わず、それをやはり距離を外したり、首相撲が来た瞬間に離れたりしながら、絶妙な距離をキープして、ここぞと言うタイミングで強烈にして素早いパンチの連打を叩き込む。

または太ももにねじ込むようなローキックを効かせてしまう。

狙いこそ通常のキックボクサーと同じようですが、そこに至るまでのプロセスがまったく違うのが、まるで将棋の大局観のようだなと、解明して感心している次第です。
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