新着記事

畑山隆則と坂本博之のボクシング世界タイトルマッチ

: 名勝負徹底解説

畑山隆則vs”KOキング”坂本博之 パワーvsスピード打ち合い制したのはヴォルグのホワイトファングだった!

日本史上最高試合 日本ボクシング史上において、BEST BOUTの1つとされる、 ...
大山道場で極真空手家の初代師範代石橋雅史

: 空手および格闘技

“先師望月”石橋雅史 初代師範代安田英治 黒崎健時と大山茂 芦原秀幸に盧山初雄そして山崎照朝を育て極真空手の礎築いた功績!

大道無門、先師望月 大山倍達が生前よく引用していた漢文だと言い、それをさらに自ら ...
ジェラルドゴルドーやケニーウーテンボガードに小笠原和彦に勝った極真空手家ニコラス・ダ・コスタ

: 空手および格闘技

“貴き獣”ニコラスダコスタ 不敗神話を欧州やオセアニアで築き世界大会でも王者松井章圭以外には敗けなかった気高き英国紳士!

ジェラルドゴルドー、小笠原和彦に勝利 第3回世界大会で"南アの巨魁"、身長198 ...
ムエタイ史上最強の天を突く膝蹴りディーゼルノイ・チョー・タナスカン

: 空手および格闘技

“軽機関車”ディーゼルノイ “天才児”サーマート、ベニーユキーデと戦った大貫忍やテコンドーにも勝利した、知られざる変幻自在の技術、その深淵を覗く!

天を衝く膝蹴り ディーゼルノイ・チョー・タナスカン。 天を衝く膝蹴りとして、過去 ...

記事ジャンル一覧

二十話「突きの連打」

2021年11月7日

まずはブログランキングにクリックのご支援
何卒宜しくお願いします。

 にほんブログ村 にほんブログ村へ 
 にほんブログ村ランキング   人気ブログランキング

最初から読みたい方はこちらへ! → 初めから読む
___________________

目次
この記事を書いた人
青貴空羽

小説家にして極真空手家。
更に2年間の英国留学不治の病うつ病になった経験、オタク文化を発信する為ブログTwitterYouTubeを始める。

Twitter:@aokikuunovel

本編

 驚いている暇すらない。

 再び突きの連打が始まった。
 左右の正拳(せいけん)が、今度は規則正しく乱れ飛んでくる。

 それを左右に流し、逸らす。
 右拳、左拳、右拳、左拳、右拳、左拳――

 纏の体が跳ねた。

 再び体ごと弾ける、膝蹴りだ。
 先ほどと同じように十字ブロックを作り――

 衝撃で、身体が軋む。

「ぐ、ぅ……!」

 再び突き。
 右拳、左拳――

 再びの、膝。
 両腕で受けるが衝撃で、たたらを踏む。

 着地と同時に再び突き。
 右拳、左拳、右拳、左拳、右拳、左拳――

 纏の高速の左ロー――を、天寺が膝を跳ね上げ、防ぐ。
 がつ、という手応え。

 再び突き。
 右拳、左拳、右

 ――ここだっ!

 突き出された纏の右拳を、左の掌で右側に流す――と同時に道着の袖を掴み、一気に引いた。
 纏が勢いあまって、たたらを踏む。

 動きの流れのまま天寺は、思い切り体を翻す。
 長い髪が、尾のように弧を描き出す。

 それを追いかけるように──



 天寺の右足のかかとが、纏のこめかみを狙う。



 纏の道着の右袖を引っ張った天寺は、そのまま左足を軸に右方向に回転し、後ろ回し蹴りを放ったのだ。

 手を放さず、ガードが出来ないようにして、それは反則スレスレの際どいテクニックだった。

「あぁッ!」

 身を翻してから着弾まで、十分の一秒。
 それは、神がかった速さを見せた。

 今まで遥たちに見せてきた蹴りとは、わけが違う。
 殺気を伴った蹴りが、そこにはあった。

 ごん、という骨が骨を打つ重たい音が、道場内に響き渡った。





 見守る道場生たちは、息を呑む。
 やった。仕留めた。押されてはいたが、一瞬で――一撃で、ひっくり返した。

 さすがはうちの高校生王者、天寺だ――そう確信と、安堵の表情を浮かべていた。

 だが次の瞬間、道場生たちの表情が、強張る。

 ガードができない状態でまともに食ったと思われていた纏は、よく見れば押さえられた手とは逆――左腕を、顔全体を覆うようにまたがせ、その掌で右こめかみを狙った天寺の踵を、受け止めていた。
 あの一瞬で状況を看破し、出来得る対抗手段を講じていたのだ。

 しかし、それでも吸収しきれず蹴りの威力に押され、大きく体が傾いてしまっている。

 それを逃す天寺ではない。

「ぬあぁ!」

 そのままガードごと強引に膝を畳み込み、纏の身体を巻き込んでいく。
 纏の体がさらに傾き、右足が浮いた。

 床に叩きつけるつもりだ。

 ――いける!

 天寺がそう確信した、次の瞬間。

 纏は左足のすべての指で床板をくわえ込み、そのまま片足一本だけで腰を強引に捻じ曲げ、天寺の踵の軌道上から自分の体をズラしてしまった。
 唸りを上げて、纏の鼻先で天寺の膝が畳みこまれる。

 常人ではありえない、強い腰がなせる力技だった。

「……チッ」

 天寺が掴んでいた裾を離し、畳んだ右足を地に着けずそのまま纏の腹にトン、と押すように当て、バックステップして距離をとる。

 天寺が激しく肩を上下させ、荒く息を整えている。
 その目は憎々しげに相手を――纏を、睨みつけていた。

 ハァ、ハァ、と呼吸を整える音が道場に響く。

 纏は、しばらく右手でこめかみを押えていた。
 その後、その手を顔の前に持っていき、左手も持ち上げて両の手のひらを見たあと、静かに天寺を見た。

 そして、やはり静かに元の構えに戻った。
 まるで何事もなかったような、それはそんな自然さだった。

 纏が再び、天寺に近づいていった。

___________________

続きはこちらへ! → 次話へ進む

クリック👍のご支援お願いします。
にほんブログ村 にほんブログ村へ 
ありがとうございますっ!🙇