不治の病――潰瘍性大腸炎闘病記⑬「腸液漏洩」

2019年11月26日

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年始、その店はかき入れ時でした。

だからと言ってはなんですが、トイレに行くというその当たり前の申し出に対してすら、若干の非難の視線を向けられました。

私は胸に言いようのない嫌な気持ちを抱えていました。

いったい今、自分は何をしているのか──



 トイレに駆け込んで、個室に入って、ズボンを下ろしました。

 結論から言ってしまうと、予想は半分ほどあたりと言うところでした。

 下着が、わずかに朱色の液体に染まっていたのです。

「…….まじかよ」

 言葉になりませんでした。前代未聞の事態でした。

 潰瘍性大腸炎になってなお、こんなふうに下着を汚した経験はありませんでした。異常事態。頭は軽く真っ白になっていました。

 よく調べると、完全に血に染まっていると言うわけではなさそうでした。液体は粘着性もなく、透明度も高く、わずかにピンク色程度に赤が混ざっているかな? 程度。

 おそらくは、腸液か何か。

 とにもかくにも、とりあえず勤務中と言うことで、トイレットペーパーで下着、さらにはズボンもよく拭いて拭いて、もちろん乾くわけは無いのですが、とりあえずははけるかなと言うレベルに再建。

 動揺を抑え切れないまま、現場に戻る。

 店長からの視線は、なおも冷たいものでした。

「…….どうしたの?」

「いや、ちょっとズボンが濡れまして…….」

 多少誤解を招きそうな言い方だったが、潰瘍性大腸炎の事はすでに伝えてあったので、まず伝わるニュアンス。

 だが店長の、その冷たい視線は変わる事はなかった。

「全く…….じゃぁ、早退でもする? そうじゃなかったら、さっさと現場戻って」

 耳を疑った。
 愕然とした。

 その時私は、まだ甘かった。

 まだ、どこかで心配してもらえると、気遣ってもらえると、そんな淡い期待を、その胸に抱いていのだ──
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