ヨードレックペット vs チャンヒョン・リー 世界最高峰王者、その芸術的なムエタイ技術の真髄に迫る!

ヨードレックペットは現在ムエタイの中でも、最高峰の選手の1人だと思っている。

私はムエタイが好きだ。ほとんど信者といってもいいレベルだと思う。

もともと私は、我慢比べのようにゴツゴツ戦うよりは、ある程度の距離を保って、お互いの思惑を実現させようと牽制したり、フェイントを入れたり、その中でも畳み掛けるとか仕掛けるような、そういう戦いことを好んでいる。もっと言えば将棋のように、起承転結がある、そういった戦いが。

ムエタイは、それの典型と言える。ムエタイは、よく言われているがギャンブルとして成り立っているので、最初からKOを狙う事はまずない。ラウンドの流れの中で、自分の身を確実に守り、そして成立させる、そこに何よりの比重を行っている。

ヨードレックペットが日本のノックアウトと言う団体で最初に戦った、日本チャンピオンの森井洋介との試合。

私は、衝撃を受けた。森井との試合で、ヨードレックペットはガードに比重を置き、驚くべきことに前足への左インローキックしか蹴っていなかった。そんな戦い方、私は見たことがなかった。しかし森井のパンチも蹴りも、全く入らない。逆にバズーカのようなそのインローで、森の足は徐々に破壊されていった。

森井の焦燥は明らかで、ラウンドが変わると同時に流れを変えようと一気に詰めてきた。

そこに、まさに狙いすました左の肘打ち、一閃。それで終わった。森井の鼻は、それこそ無残に真っ二つにへし折られてしまった。

まるで11手詰あたりの詰将棋を見せられている気分だった。そこまでの流れは、完璧。必要な駒は、最小限。こんなレベルの戦い方をする男がいるのかと、その日は興奮して眠れなかったほどだった。

そして先日、そのヨードレックペットがノックアウトと言う団体のアジア大会の決勝に上った試合を見た。相手はコリアンモンスターの異名を持つ、チャンヒョン・リー。圧倒的な身体能力、異常なほどの打たれ強さ、そして爆発的なパンチ力と右ローキック。典型的な、地力が強く、その基礎能力で戦うタイプ。RPGで言えば、レベルを上げて、物理で叩くタイプだった。

こういう相手には、駆け引きが通用しにくい。壱発壱発が効きにくいから、それで揺さぶりをかけづらいのだ。

果たしてヨードレックペットは、それまでとは全く違う戦い方を見せた。序盤、明らかにチャンヒョン・リーの右ローキックが効いていた。決定的ではないが、4割ほど。ぱっと見では多少まずいような印象は受けた。実際ジャッジは、向こうに上がった。

しかし、私の武道家としての直感が、このままチャンヒョン・リーが勝つとはとても思えなかった。

2ラウンド目以降、ヨードレックペットが間合いを詰めてきた。そしてパンチを中心として責め立てる。その間合いでは、チャンヒョン・リーの右ローキックが十分に体重を乗せる事は難しい。その中で肘打ち、膝蹴りを交えて、撹乱していく。パンチ中心のキックボクシングスタイルに慣れているチャンヒョン・リーとしては、これは非常に捌きにくかったことだろう。

そして、伝家の宝刀、左のイン、外のローキック。チャンヒョン・リーは完全に足を潰され、パンチ体重が乗ることがなくなった。そしてその間隙をついての肘のつるべ打ち。

最終ラウンドは見事な流しだった。完璧なタイミングでの前に体重をかけたクランチ、それが消極的だと注意されればフェイントと左ミドルだけで完全に捌ききる。

衝撃だった。
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