“最強の侵略者”南豪宏vs田村悦宏! 30キロ差の極真王者挑む史上初他流派が決勝の舞台に上がった魂の闘い!

2024年4月9日

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白蓮会館の絶対王者

南豪宏。

他流派、他団体に多く進出せし、国際空手拳法連盟白蓮会館の、団体の全日本大会を5連覇した絶対的な王者にして、士道館や正道会館の大会にも参戦、上位入賞を果たしさらには極真会館の全日本大会にて、その前々年度の優勝者を破り、あの城西の爆撃機として第22回全日本大会優勝、第5回世界大会準優勝を果たす増田章と壮絶な打ち合いの末にベストエイト入賞を果たした伝説的な男。

最大の得意技であり必殺技の下突きは、神速剛腕の突きと称され、あまた強豪の腹筋を打ち抜き、マットの上に沈めてきたという。

そんな南豪宏の数多ある戦いの中で、その圧倒的な体格差にもかかわらず、あまりにも満身創痍の中、その輝きを見せつけた一戦が存在する。

極真会館第9回全日本ウェイト制空手道選手権大会、重量級。

そのベストエイトに優勝した第22回全日本大会から所属団体の全日本大会4連覇目を果たし、その半年後に出陣した、まさに脂が乗り切っていた時に行われたともいえるその挑戦。

極真第9回全日本ウェイト制重量級

その大会で南豪宏は第10回全日本ウェイト生大会重量級4位、17回大会中量級準優勝、さらには無差別の全日本でもベストエイトに入賞し、体重別の世界大会である第一回空手ワールドカップで中量級3位に入る足技の名手、佐伯健徳と対戦。

中段前蹴り、中段回し蹴りで距離を取ろうとする佐伯健徳に対して、南豪宏は接近しての鉤突き、下突きを狙っていく。

上段回し蹴り、前蹴りが頭部、顔面をかすめても意に介さず、カーフキックらしきものすら見せ、そこから下突き鉤突きを下段回しを交えて乱打。

真正面からのド突き合いを挑もうとする南豪宏の背中をその大歓声が後押し。

それに佐伯健徳の中段への膝蹴り、そして上段前蹴りが顔面を跳ね上げ、戦いは死闘の様相を帯びていく。

遠距離からの佐伯健徳の後蹴り、後回し蹴り、それにもひるまず愚直ともいえるほど前に。

その剛腕に加えて下段回し切れも非常に有効なようで、佐伯健人の動きを徐々にむしばんでいく。

ひるんだところに下突きが炸裂。

戦いは再延長戦までもつれ、南豪宏の右の上段回し蹴りが佐伯健徳の顔面をかすめたりもし、最終的に試しあれ判定20枚対21枚という1枚差を持って勝利。

さらには全日本大会3連覇、第8回世界大会では優勝を果たす鈴木国博なども破り迎えた相手は、その勇猛果敢な戦いぶりで流血の闘将と呼ばれし、第5回全日本ウェイト生大会では重量級で優勝に輝いている木元正資と激突。

戦いはお互いが得意とする下突きの応酬となるかと思われたが、序盤過ぎから木元正資が胸をつけるような近接戦に移行。

乱戦となるも、お互いなかなか有効な一打まで繋げられず、闘いは膠着。

延長でも木元正資が下段からの上段を狙い、南豪宏は接近戦での下突きを狙うという展開。

その最中、右左の下突きが木元正資のボディーに食い込み、その動きが止まる。

しかしそこはさしもの闘将、連打を許すが、そこから下段回しで反撃。

再延長では陣地の奪い合い、ポジショニングの戦いとなり、しかしそこでも南豪宏の左中段回し蹴り、そして下突きが炸裂。

木元正資も意地の左外回し。

戦いはやはり試し判定までもつれ、またも20枚対21枚を持って、南豪宏の勝利。

この瞬間、府立体育館は大きなどよめきと歓声により揺れ動いたという話。

極真全日本大会史上初の他流派選手の決勝進出

その偉業達成までの道のりは厳しく、あまたある実力者との戦いの中、南豪宏はそのすべてを体重、試し割り判定までの繰り返しの延長戦を戦っているとされ、その包囲網を突破した鍛え抜かれし体躯、スタミナは脅威というほかないといえるが、しかしそれまでに支払った代償もあまりにも大きかったといえるかもしれない。

決勝で見えるは全日本大会3度の準優勝、一度の優勝を果たす、極真トップ中のトップ選手である、田村悦宏。

この試合の前南豪宏は左右の拳を痛めてしまったといい、その自身の最大の武器であるその性能を十分に生かし切れない状態のまま上がった檜舞台。

南豪宏はまずは左の前蹴りから先制するが、そこに田村悦宏は右の下突きからなたで叩き落とすような右の下段。

それに一瞬がくっとなる南豪宏。

南豪宏自身も右の下段を返すが、右、左の正拳突きからの右の下段でスネ受けしても体が揺れる。

体重差30キロ近くにも及ぶといわれる体格差。

その中で南豪宏は一瞬の左上段回し蹴りで場内を沸かせる。

両手の押し合いから、田村悦宏の左下段回し、膝蹴り、それに南豪宏も右の膝蹴りを返すが、田村悦宏の右の下段2連発で再び腰が落ちる。

ダメージの差は明らかここまでの激闘でもはや満身創痍といえるのだろう。

しかしそれでも右の下段で下がらせられながらも、右の鉄拳一閃。

動きを止め、下段、膝蹴りの応酬。

ダメージが確かにありながら一歩歩も引かぬ蹴り合いに応じつつ、そこで田村悦宏が右の下突きの2連打の膝蹴りで押し込もうとして来たところで本戦終了。

延長では田村悦宏が下突きと膝蹴りを中心に下段、上段回し蹴りを振り回し、主導権を握ったと思った直後。

下段回し蹴りに合わせた右、左の下突き、そこからの右の膝右の膝。

胸がつくほどの接近戦からコツコツした左、右の下突き。

足が浮いたところに足掛け下段付を合わせられ、左中段回し蹴りに強烈な右の鉤突き、さらに膝蹴り、右下段で押し込まれるかと思った次の瞬間。

逆襲の右の下突きが深々とボディーに突き刺さり、そこからの右の膝蹴りで田村悦宏の巨体が浮く!

出た!

ついに決まった、南豪宏の必殺のコンビネーション。

下がる田村悦宏を追いかけ追撃の膝蹴り、下突き三連打、しかし田村悦宏も組み付き膝蹴りで仕切り直し、その下突きに顔をしかめながらもそれ以上一歩も下がる事は無い。

終了直前に鬼の形相で突撃し膝蹴りで突っ込み、旗は2本田村悦宏に上がり、そのまま判定はそちらへ。

結果としては準優勝という結果になり、悔しいものになったといえるが、本人のコメントとしても、

どこまでやれるかという試練のつもりでした。

と語っており、

田村悦宏さんは突きも蹴りも重かったし、練習していますね。

と讃えており、その武道精神の高さも伺えるもので、そしてあれだけの体格差にもかかわらず、それまでの戦いでも敗れたそのほとんどの戦いが体重判定にもつれてのものであり、ダメージというものと無縁であった田村悦宏に、その動きを止めた下突きの破壊力、体を浮かせたという事実、それは驚嘆すべき、覚えておくべき事件だといえるだろう。

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