不治の病――潰瘍性大腸炎闘病記⑨「本当の恐怖は死を実感した後に訪れる」

2019年10月18日

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人は、見てはいけないって言われるとみたくなる生き物。

やるなと言われればやってしまう生き物。

最悪なんて考えなくていいのに考えてしまう生き物。

このことを想うと、とみに悲しさが胸に去来します。

人間というのはどこまでも悲しく創られている生き物。

それをどう捉えるかが、その時の心の持ちようなのかもしれません。




 もし。

 もし、直腸への直接のステロイド剤の注入が、効果がなかった場合。

 どうするのか、どうなのか。

 それを調べました、調べてしまいました。

 調べる必要など、どこにもなかったのはわかっています。だけど、調べてにはいられませんでした。

 1つは、時間を持て余していたと言うこと。何もできず、ソファーの上で体を横たえているしかない。

 しかし心身ともに余裕がないために、ネットを漁って、そして今何よりも知りたい情報しか、頭に入れることしかできない。

 どうしようもなく視界が狭い。

 そして私は、パンドラの箱開けました。

 大腸の切除。

 人工肛門の取り付け。

 絶望が、ぱっくりとその口を開いているかのようでした。

 深淵が覗きます。
 その下は暗い暗い、真っ暗な闇。人間なんて、簡単に引きずり込まれて、あっという間に飲み込まれてしまいます。

 だけど覗き込まずにはいられませんでした。

 絶望には、続きがあったのです。

 それでもなお、治らない場合がある。

 なんだそれ?

 浮かんだのはただただ疑問。

 病を患っている体調そのものがないと言うのに、なぜ治らないの?

 なぜ症状が続く場合があるんだ?

 なんなんだこの病気は?

 どうなってるんだ?

 まさか俺、そのパターンじゃないだろうな?

 内臓やられて、煉獄で焼かれるような痛みと、文字通り体の内側から蝕まれるような倦怠感に襲われながら、さらには思考までがどす黒く侵食されていきます。

 大腸の全摘出。

 人工肛門、脇腹につける。

 なのに治らず、ずっとこの煉獄のような激痛と、一歩も動けない倦怠感に蝕まれる?

 ずっと15分おきに命を吐き出し続ける?

 死を覚悟したのは、あくまで入り口でした。

 私はこの病気の実態を知ったことで、自分の境遇の本当の恐ろしさを思い知らされてしまいました──
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