不治の病――潰瘍性大腸炎闘病記⑥「原因不明という焦燥」

2019年10月18日

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死に頻した私が至った境地について語ります。

表も裏も外聞もありません。

死に直面した人間がどのような気持ちになるか。

どうぞお納めください。



 死ぬかもしれない

 そう思った時、僕の中で何かガラスのようなものが砕ける感覚があった。

 とにかくなんとかしなければいけない。
 その一心で、手元にあった携帯電話を取り出した。

 一心不乱にググった。

 ――そもそも、潰瘍性大腸炎って何なんだ?
 不治の病ってどういうことなんだ? 本当にどうしようもないのか?

 畳み掛けられる疑問を、とにかく必死に解こうとした。

 ここからは正直言って、意識が不透明だった。

 朦朧としていたというのが実際かもしれない。意識がところどころ途切れていたのかもしれない。あまりに続く、激痛、倦怠感、そのためにゆっくり眠れなかったために。

 だからここからはどうしてもうろ覚えの感が強くなってしまうのを許してほしい。

 ちなみに私はここでは専門的な知識を体系つけて書くつもりはない。

 そこは専門家にお任せする。
 私が武器とするのは、そこではない。

 私がここで伝えたいのは、小説家としての知識をフルに使った、リアルな不治の病と言うものとの、人間の向き合い方と言う姿勢そのものだ。

 片っ端から調べた結果得られた知識はざっくり言うと以上のようなものだった。

 潰瘍性大腸炎とは、原因不明の病気にして、国で指定されている特定医療疾病。

 類推するものにクローン病と言うものもあり、炎症は、直腸付近のみの浅いものから、大腸全体にまで広がる重度のものがある。

 ――悪化すれば、大腸がんにつながる恐れもある。

 青ざめた。

 そもそもが、この不治の病になったと家族に伝えたときに、母親から言われた疑問がこれだった。

「あんたそれ、大腸がんじゃないの!?」

 その時は私も余裕がなかったのと母親のあまりのデリカシーのなさに

「うるさい、黙れ!」

  とはねのけたが、まさか本当につながるものだと思いもしなかった。

 さらに検索、具体的な治療法。

 治療法、不明。
 現状、そも原因が不明。
 食生活、睡眠時間の長短、生活リズム、運動関係、遺伝的なもの、ありとあらゆるジャンルにおいて、それは特定がなされていない。

 打つ手がない。

 その情報を得たときに私が抱いた感情が、それだった。

 原因が不明。
 例えばそれが生活リズムだったり、睡眠時間の短さだったり、運動不足だったり、お酒とかタバコだったりとか、暴飲暴食だったりするのならば、それはやめれば症状落ち着くと言うのならばいくらでもするだろう。

 だがその一切の原因が不明と言われて、じゃあ患者は一体どうしたらいいのか?



 ──死ねと言うのか?



「っ!?」

 一瞬考えて、自分でリセットする。
 そんなバカな。
 俺は一瞬だけ頭に浮かんだ気の迷いだ。そう自分に言い聞かせが、言い聞かせたかった、だけどそれは難しいかもしれなかった。

 何か、

 何かないのか?

 必死になって検索し続けた。
 その間も激痛と倦怠感に苛まれ、そしてトイレには15分おきに駆け込んでいた。毎回毎回、大量の血液と、そして命を吐き出していた。肉体と精神、両方を削られ続けていた──
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